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ブラッド・ブラザー

  • Posted by: おてもと
  • 2012-04-26 Thu 12:37:48
  • 読書
めて読んだジャック・カーリイの作品です。
唯一の失敗は、この作品をノンシリーズだと勝手に思い込んで読み始めてしまったこと。
ちゃんと刊行順に読んでおけばさらに楽しめたろうに…。
「シリーズ物は1作目から」を改めて感じます。
玄関とトイレのドアに書いて貼っておこう。
ブラッド・ブラザー (文春文庫)ブラッド・ブラザー(文春文庫)
(2011/09/02)
ジャック・カーリイ
原題「BLOOD BROTHER」
きわめて知的で魅力的な青年ジェレミー。僕の兄にして連続殺人犯。彼が施設を脱走してニューヨークに潜伏、殺人を犯したという。連続する惨殺事件。ジェレミーがひそかに進行させる犯罪計画の真の目的とは? 強烈なサスペンスに巧妙な騙しと細密な伏線を仕込んだ才人カーリイの最高傑作(あらすじより抜粋)。

この作品はジェレミー&カーソンシリーズの第4作目(涙)。
主人公であるアラバマ州の刑事カーソンは、知人である逸脱行動矯正施設所長がニューヨークで惨殺されたのを機にニューヨークに向かいます。
犯行現場には、連続殺人で施設に収容されていた兄・ジェレミーの犯行を意味する手がかりが次々と見つかり…というお話。

満足。
とても完成度の高いサイコスリラーでした。『ボーン・コレクター』よりこちらの方が好み。
ただし、猟奇描写のグロ注意。
やっぱりどうしても、サスペンスの手法や一気にたたみ掛けるようなラストはディーヴァーを彷彿とさせます。
しかし時間軸の絡ませ方、手がかりの配置、複線の張り方はディーヴァーよりも上手(物語のスピード感は劣るか)。
犯行現場に複数の人種の毛髪を落としていくという証拠隠滅の方法が印象に残っています。
そして何と言ってもジェレミーのキャラクターが忘れられない。とても好きになってしまった。

ジャック・カーリイは新作が出ればその年のランキングに入るというほど、その名前を至るところでよく見かけます。
さらに第2作『デス・コレクターズ』は、本格ミステリ作家クラブ「海外優秀本格ミステリ顕彰」(2000年~2009年までのゼロ年代に刊行された海外作品の中での優秀作品を決める賞)でも最優秀作に選ばれているほど内外で評価された作品。
この作品を読んでみて、確かに質の高さが伺える作家さんだなと感じます。

よし、今年中にカーリイを全部読もう。
もちろん『百番目の男』からです。

ドライヴ

  • Posted by: おてもと
  • 2012-04-04 Wed 13:36:45
  • 読書
店で積まれていた本作。
訳は鈴木恵さん。
気になって調べてみると、2006年に『ドライブ』というタイトルで刊行されていた作品でした。
どうやらライアン・ゴズリング主演で映画化されたようで、その公開に合わせて改題&リニューアル刊行となったようです。
ドライヴ〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕ドライヴ〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕
(2012/02/29)
ジェイムズ・サリス
原題「Drive」
故郷を捨てカリフォルニアへやってきた若者は、映画のスタント・ドライバーとなり、やがてその卓越した運転の腕を裏社会の面々に買われ、逃走車両の運転手稼業に手を染めるようになっていた。そんなある日、彼が参加した強盗計画が仲間割れから無残な失敗に終わる。命からがら逃げのびた彼は車だけをパートナーに、裏切りの黒幕を追って走りだした…。斬新な感性でクールに描く衝撃のクライム・ノヴェル(あらすじより抜粋)。

名無しの「ドライバー」を主人公に据えた(名無しというのが素敵)、クライムノベル。
彼は映画撮影所でフリーのスタントドライバーを務める傍ら、強盗などの逃走を助ける「逃がし屋」として生計を立てています。
極力主人公の感情表現を排して描かれている文体が特徴的。非常にシャープです。
ところどころ時系列が入り乱れますが、200ページ弱且つスピード感ある展開なので、あっという間に読了できました。

天才的な才能を持つ「ドライバー」がとてもクールでハードボイルド。
加えて題名通り、逃走やスタントドライビングシーンがとにかくカッコイイ。
手に汗握るような疾走感ある描写が多く、映像向きの作品だと思います。

サブキャラクター賞は「ドライバー」を拾ってカースタントの世界へと誘ったベテランスタントマン。
彼と「ドライバー」のやりとり、そして彼の最期。
どことなく哀愁が漂っていて、印象深い男でした。

今作のその後を描いた「Driven」という後日譚も刊行予定ということで、そちらも読みたいです。

さて映画版について。近頃はトレイラーなどをよく見かけます。
キャッチコピーは“疾走する純愛”。
うーむ。ちょっと原作のイメージとは違いそうですが、頃合いを計って観てみようと思います。

スカイジャック

  • Posted by: おてもと
  • 2012-03-19 Mon 23:12:05
  • 読書
頭の謎! 魅力ある謎!
こいつに弱い。惹かれてしまいます。

自分はクイーンが好きなのですが、その理由のひとつは「冒頭の謎」提示の上手さにあります。
「田舎の丁字路に、磔にされた首無し死体が!」「棺を開けたら2人分の遺体が入っていた!」「被害者の着衣をはじめ、あらゆるものが、“さかさま”になっていた!」
オチはともかくとして(そして国名シリーズばっかり)、この強烈な「なぜ?」が読書のガソリンになることが多いのです。
こうなると、真相が知りたくてページを捲る手が止まらなくなってしまいます。
…長々と書いてしまいそうなので、クイーンに関してはいずれ。
今回は初めて読むトニー・ケンリックの、この作品。
スカイジャック (角川文庫)スカイジャック (角川文庫)
(1974/09)
トニー・ケンリック
原題「Skyjack」
360人の乗客を満載したジャンボ・ジェット機が忽然とかき消えた! その直後、2500万ドル相当のダイヤモンドを要求する手紙が舞い込んだ。航空会社とFBI、それに州警察が調査に乗り出すが、手掛かりはナシ。そこにさっそうと登場するのが、若き弁護士ベレッカー。ただし開店休業中。そして元妻兼秘書のアニー。二人が航空会社の友人から、この事件を耳にしたのが運のつき。10万ドルの報奨金めあてに、素人探偵よろしくうろちょろするうち、事件の深みに巻き込まれ―そして最後には、あっと驚く結末が…軽妙洒脱なユーモア・ハードボイルド(あらすじより抜粋)。

「360人もの乗客を積んだジャンボジェットが突然消えた!!」
墜落の痕跡も一切無し。ではどこに?
ウーン。素晴らしい。もうワクワクしっぱなし。
この強烈な謎が、物語を最後までグイグイと引っ張ってくれました。

主人公はしがない弁護士べレッカー。その秘書は前妻アニー。
ひょんなことからこの事件の調査に関わるわけなんですが(べレッカーが捜査に乗り出すきっかけとなる出来事も上手いと思いました)、どこか間が抜けている。
べレッカーが解決に勤しむ動機も、
「解決すりゃー10万ドルくらいもらえんだろ」
という感じのノリ。
アニーもしっかり者のキャラクターなのですが、放っておけないべレッカーと行動するうち、ついつい様々なアクシデントに巻き込まれてしまいます。
CA扮して空港に出向くアニー。あろうことか本物に間違えられて飛行機に乗る羽目に陥る、というシーンがあるのですが、この顛末が面白い。ずっと笑いながら読みました。活字でこんなに笑ったことがこれまであっただろうか?

2人の敵はハイジャック犯グループ(個人的に「悪役商会」と命名)の面々。
彼らは様々な職業の人間が集まったプロ集団なのです。
初めはシリアスに描かれる彼らも、物語が進むにつれて間抜けな姿を晒していくのが楽しい。

このようにユーモア盛りだくさん。
FBIも追う世紀の大事件であるはずなのに、どこかほんわかした感じで進んでいきます。

ラストのトリックについては、満足度60%といったところでしょうか。
ちょっと無理があるけれど、予想できなかった。大トリック炸裂でした。
気になる方はぜひ本書を手に取ってみてください。

終始一貫したドタバタコメディの中に、さりげなく複線を張っているケンリックの手腕にも唸ります。
彼の作品は他に『リリアンと悪党ども』が有名。
こちらも期待できそうです。

謎、ユーモア、大トリックの三拍子。
頭が煮えそうな読書の後の清涼剤として、こういう作品は大切ですね。

毒入りチョコレート事件

  • Posted by: おてもと
  • 2012-03-17 Sat 18:19:13
  • 読書
レンタインデーもホワイトデーも終わったということで、ベタですがこの作品。
敬愛するバークリーの代表作です。
毒入りチョコレート事件 (創元推理文庫 123-1)毒入りチョコレート事件 (創元推理文庫 123-1)
(1971)
アントニイ・バークリー
原題「THE POISENED CHOCOLATE CASE」
一見単純にみえる毒入りチョコレートによる殺人事件は、スコットランド・ヤードも投げ出すほどの難事件だった。その解決に乗り出したのは、ロジャー・シェリンガムを会長とする犯罪研究会の面々。六名の会員が、同一事件に対して示した六様の推理と解決策。本格推理文学の典型的手法を縦横に駆使した、アイルズ=バークリーの古典的名作(あらすじより抜粋)。

通常のミステリは1人の探偵が推理を展開していくのがセオリーですが、この作品では6人の探偵役が1つの事件についてそれぞれの推理を披露していきます。
6つの推理どれもが、一見正解のようでそうではない。
各人の解答が順を追って披露されるうちに、少しずつ推理が研ぎ澄まされ、正解に向かっていきます。
スリルに満ちた多重解決。さあ、誰の推理が真相か?
相変わらず、バークリー作品は捻った趣向が面白いです。

その犯罪研究会を束ねるのが、バークリー作品では最多主演を誇るロジャー・シェリンガム。
今回は彼の迷活躍ぶり(?)は身を潜め、どちらかというと司会役に徹している感じです。
さらに、会合にはアンブローズ・チタウィックも参加!
シェリンガムとチタウィックの2大探偵の共演。いや、競演か。
迷探偵と名探偵、そんな2人の対比がこの作品でも十分描かれています。
ラストも余韻を引きずる感じで強烈です。

バークリーはかつて『偶然の審判』という中編を書いており、それを原型としてこの作品を完成させました。
『偶然の審判』は創元推理文庫『世界短編傑作集3』や『毒薬ミステリ傑作選』などに収録されています。
読み比べてみるのも一興。

さて、古典ミステリのスタンダードの1つであるといえるこの作品。
確かに訳文も舞台もクラシックなものですが、現在でも損なわれない、本格黄金期の魅力が味わえます。

これを書いていると、かつて東京創元社のS女史が、この作品のことを話していた時に「社内ではみんな『毒チョコ』って呼んでますよ!」と言っていたのを思い出します。
『毒チョコ』。
こう聞くと、なんとなくかわいらしい響きではございませんか。

赤い右手

  • Posted by: おてもと
  • 2012-03-10 Sat 12:47:29
  • 読書
しぶりに読んだ国書刊行会・世界探偵小説全集のNo.24。
初めて読む作家の作品です。
「カルト的名作」とも謳われる怪作。
読了後に思わず「なんじゃこりゃあ…」と呟いてしまいました。
うん。確かにコイツは怪作だ。
赤い右手 世界探偵小説全集(24)赤い右手 世界探偵小説全集(24)
(1997/04)
ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ
原題「The Red Right Hand」
結婚式を挙げに行く途中のカップルが拾ったヒッチハイカーは、赤い眼に裂けた耳、犬のように尖った歯をしていた…。やがてコネティカット州山中の脇道で繰り広げられる恐怖の連続殺人劇。狂気の殺人鬼の魔手にかかり、次々に血祭りに上げられていく人々―悪夢のような夜に果して終りは来るのか?熱に憑かれたような文体で不可能を可能にした、探偵小説におけるコペルニクス的転回ともいうべきカルト的名作、ついに登場(あらすじより抜粋)。

謎の浮浪者「コークスクリュー」が跋扈する田舎町での連続殺人事件。
事件の記述者は、主人公であるドクター・リドルです。
彼の一人称で物語は進んでいくのですが、このリドル医師の記述が非常に引っかかる。
モヤモヤして要領を得ないし、時系列もメチャクチャ。
まるで夢を見ているような、読んでいるコチラがジリジリするような書き方なのです。

自分は途中からリドルの野郎に痺れを切らしてしまい、
「おい、もしかして○○○が犯人だったとしたら絶対に許さんからな」
と心に誓って読んでいました。

と思いきや、それが終盤で鮮やかに裏切られてしまうのです。
久しぶりに「おお…」と唸ってしまった。

ミスリードの嵐。
乱雑に張り巡らされた複線の数々。
赤い鰊がところどころに置いてあり(いや、ここは敢えて「うっちゃってあり」と書いておこう)、見事に騙されてしまいました。
しかし冷静に考えてみると、
「そんなこと本当に可能なの?」とか
「これって矛盾してない?」とか
「そりゃあ無理だべ」
などなど、腑に落ちない点も多々ありました。
小林晋さんの非常に丁寧な解説が巻末に付いていますので、読了後はそちらと併せて再検証することをオススメします。
後半が「わーっ、わーっ!!」という感じで進むので、その勢いに誤魔化されてしまったような感じです。

しかし、
「赤い眼に裂けた耳、犬のように尖った歯をした連続殺人鬼」
「右手を切り取られた被害者」
「犯人の逃走経路上に記述者が立っていたのに、どんな車ともすれ違わなかった」
など、冒頭で示される魅力的な謎もあります。
さらに私は騙された身です。文句は言えません。
アンフェアギリギリ。
間違いなく賛否両論別れる作品ですが、個人的には楽しめました。

著者のジョエル・タウンズリー・ロジャーズはこの他にもミステリ作品を出しているようですが、そのほとんどは未訳もしくは入手不可能な状況にあるようです。
果たして、ロジャーズがこの作品の細部に至るまでを緻密に計算・意図して書いたかというと、疑問です。
いくつかのレビューにもありましたが、「書いていたらたまたまこうなった」という意見に同意します。
だからこそ、このような異様な作品が完成したのではないでしょうか。

「リドルさんをどこまで信じるか?」

ぜひ、この作品を手に取る場合は、真っ白な心で挑んでみてください。
細かいことは気にせず、大らかな慈悲に溢れた心で。

しかし…ホント、何だったんだろう?この本。

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